2023年6月3日、ついにアメリカのデフォルトは回避が決定しました。バイデン大統領は「米国民にとって大きな勝利」と謳っており、一件落着と思いたいところではありますが、アメリカでは引き続き景気後退の不安が残ります。本記事では、デフォルト回避のために可決された「財政責任法案」の内容から、デフォルト回避後のアメリカや日本の経済状況について解説していきます。経済の動きは不動産市場に大きな影響を与えることになるため、不動産投資をされている方にとっても、これから不動産投資を始めてみたい方にとっても非常に重要なトピックです。ぜひ最後までご覧ください。
index
2023年6月3日、アメリカのバイデン大統領が「財政責任法案」に署名を行ったことが発表され、デフォルトは回避されたことになります。今回の「財政責任法案」に盛り込まれた主な内容は以下の通りです。
「財政責任法案」の主な内容 |
---|
政府債務の上限の効力を2025年1月まで停止 |
歳出削減により財政赤字を10年で1.5兆ドル圧縮 |
社会保障や国防費を除く歳出額を24年度は横ばい、25年度は1%増に |
低所得層向け食糧支援の基準を厳格化 |
エネルギー開発の審査迅速化 |
日本の国税庁にあたる内国歳入庁の予算増額を修正 |
新型コロナウイルス禍に備えた予算の未消化分を取り消し |
社会保障や高齢者向け公的医療保険、バイデン政権が決定した気候変動対策などは修正せず |
引用:日経新聞「米債務上限を停止、財政責任法が成立 米大統領の署名で」
要約すると、2024年度及び2025年度の財政支出を抑える代わりに、2025年1月までは債務上限の効力が停止されるという内容です。つまり、2025年1月までは実質デフォルトの危機は回避できると言えます。しかし、富裕層向けの増税案など、共和党の反対もあって未だ可決の目処は立っておらず、財源確保のための策を練らなければ引き続き財政難となる状況です。
2025年1月までは債務上限の撤廃が決まったものの、その後に再びデフォルトの危機に陥る可能性ももちろんあります。「財政責任法案」には、今後2年間の財政支出の抑制に関する項目があるため、これから仮に景気後退した場合の財政出動が困難になります。現在は、コロナウイルス禍でアメリカ政府が提供した給付金の貯蓄によって、個人消費が維持されています。しかし、今後貯蓄が底を突き、財政政策も打ちづらいとなると2023年後半から景気後退が進むのではないかという見られ方もしています。次期アメリカ大統領選挙が2024年11月に行われる予定であるため、2025年1月以降に再度デフォルト危機が発生した場合は、新政権が対応を迫られることになるでしょう。
アメリカのデフォルトが回避されたことで、為替や日経平均株価に大きな影響はあったのでしょうか。以下は、5月15日から6月9日かけての為替(青)及び日経平均株価(ピンク)の推移です。
為替は1ドル=139円前後を維持しており目立つ動きはありませんが、日経平均に関して5月31日を境に急上昇していることがわかります。これは、デフォルト回避に大きく前進したことで安心感で生まれ、全体的に買いが先行したことが大きな原因と思われます。とは言え、引き続き利上げや景気後退の不安が残るアメリカ経済と比較すると、円安に伴って輸出系企業の業績がアップし、安定して成長していくことが期待できる日本株が、多くの海外投資家から注目も集めていることは間違いないでしょう。
今回は、アメリカで可決された「財政責任法案」に関する内容や、デフォルト回避後のアメリカや日本の経済について解説しました。引き続き景気後退の懸念が残るアメリカに対して、日本では順調に株価が伸長しています。
一方で、現状は目立った動きのない為替ですが、今後日米の経済状況によって大きく変動する可能性は十分あります。不動産投資に大きな影響を与える要因の一つですので、引き続き注意して動きを追いましょう。
アイ・インターナショナル株式会社では、日本を含む様々な国と地域の不動産査定が可能です。「今ご自身で所有されている不動産の価値がわからない」、「絶好の売り時を逃したくない」という方は、この機会にぜひ一度、弊社の不動産査定をお試しください。
査定依頼はこちら
また、世界各国に不動産ネットワークを持つ当社だからこそ、お客様のニーズに合わせた幅広い海外不動産の投資プランまでご提案できます。不動産投資に少しでも興味があるという方もお気軽に弊社までご相談ください。
なお、本記事における解説情報はあくまで一般論であり、個別具体的な考え方や手法は投資物件によってケースバイケースです。より詳細な情報やノウハウ等については、お気軽にお問い合わせください。