低利回りでも都心の物件に投資するべき3つの理由

低利回りでも都心の物件に投資するべき3つの理由

不動産投資を始めるに当たってはまず投資目的および投資方針を定める必要があり、その中で投資エリアを定めることは重要な決定事項の一つでしょう。どの投資エリアを投資対象として選択するかで投資手法やゴール、狙うべきキャッシュポイント、購入基準となる利回りといった点が大きく異なるためです。本記事では、投資エリアを都心にするべき理由についてメリットともに解説していきます。

 

【目次】

1-投資エリアを都心にするか?地方にするか?
2-低利回りでも都心の物件に投資するべき3つの理由
┗2-1流動性が高い
┗2-2賃貸需要が旺盛である
┗2-3資産価値が落ちにくい
3-まとめ

 

投資エリアを都心にするか?地方にするか?

不動産投資で投資エリアを考えるに当たっては、都心と地方のいずれを選択するかによってその後の投資方針が大きく変わってくることがあります。

都心エリアの物件にも地方エリアの物件にもそれぞれ特徴が存在するため、自分自身の不動産投資に関する知識や割ける時間および労力の多寡、投資目的といった要素を勘案して自身に合ったエリアを投資対象とするのが得策です。

不動産投資をするうえで、都心エリアおよび地方エリアの一般的な特徴は以下の通りでしょう。

都心エリアの特徴

・高利回りは期待しにくい
・物件単価が高い
・入居付けが比較的容易

地方エリアの特徴

・高利回りが期待できる
・安く買える物件もある
・入居付けに苦戦するエリアもある

地方エリアの物件は、都心エリアよりも人口が少ない分、人口動態や賃貸需要の把握(そもそも賃貸需要があるのか、特定の工業団地や大学等からの需要に偏っていないか等)といった点で入念な情報収集と深い考察が必要とされる可能性が高いため、都心エリアの物件よりも難易度が高い局面が多いでしょう。

土地勘およびマーケットについての深い理解がある場合を除いては、一般の個人投資家が不動産投資をするのであれば、地方エリアの物件よりも都心エリアの物件の方が投資しやすいといえるかもしれません。

 

低利回りでも都心の物件に投資するべき3つの理由

一般的に都心の物件は地方の物件よりも利回りが低くなる傾向があります。

政令指定都市の中で比較をすると、札幌市や仙台市、広島市、福岡市といった三大都市圏以外のエリアにおける賃貸住宅の期待利回りは5%前半ないし中盤であるのに対し、東京都(城東地区(台東区・墨田区・荒川区・足立区・葛飾区・江東区・江戸川区の7区)および城南地区(品川区・大田区・目黒区の3区))においては4%台前半です。

低利回りであっても地方エリアの物件より都心エリアの物件に投資をするべきといえる理由は、都心エリアの物件には以下3つの優位性があるためです。

■流動性が高い
■賃貸需要が旺盛である
■資産価値が落ちにくい

一般の個人投資家が行う不動産投資においては、株式やFXにおけるデイトレードのような短期売買を行うのは税金面や売買コストの観点から現実的ではないため、中長期的スパンでの保有が前提となります。

上記3つの優位性を有する都心エリアの物件は、低利回りであっても投資する価値が多いにあるといえるでしょう。

 

流動性が高い

不動産投資における流動性とは、物件の売買契約の成立しやすさを表しており、流動性が高いと売買が成立しやすいと考えることができます。

不動産の流動性について、公益財団法人不動産流通推進センター発表の「不動産業統計集」によれば、関東圏や関西圏といった大都市圏の方が地方圏よりも流動性が高いといえそうです。

2019年における「建物の売買による所有権移転登記個数」を都道府県別に比較すると、最多3都道府県は東京都・大阪府・神奈川県、最少3都道府県は島根県・福井県・鳥取県となっています。

売買による所有権移転登記個数が多いということは、売買契約が成立した件数が多いということであることから、都心エリアは不動産取引が活発で流動性が高いと結論づけることができるでしょう。

流動性が高いエリアに投資を行うメリットとして、以下3点が挙げられます。

・流通量が多いため、投資物件の選択肢が多い
・過去の成約データが蓄積しているため、周辺エリアの相場を把握しやすい
・購入ニーズが多いため、早期売却の期待ができる

投資の出口である最終的な物件売却を考えると、流動性が高く現金化しやすい都心エリアの物件の方が地方エリアの物件よりも融通の利く投資がしやすいでしょう。

 

賃貸需要が旺盛である

賃貸需要とは、賃貸物件のニーズであり、賃貸物件を借りたい層がどれほど多くいるかが賃貸需要の旺盛さを図る基準となり得ます。

都心における賃貸需要の旺盛さについて、東京都の人口統計課が集計した「東京都世帯数の予測」によると、東京都区部においては2040年まで総人口および一般世帯数が増加ないし横ばいに推移するという予測があります。

総人口および一般世帯数が増加ないし横ばいの傾向にあるということは、賃貸需要の旺盛さが続くということが考えられるでしょう。

全国的な視点で人口予測を見てみると、国立社会保障・人口問題研究所が発表した「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」によれば、2015年の総人口を100としたときの指数でみた総人口は以下のようになるとの予測が立てられています。

・2030年においては、東京都および沖縄県を除く全道府県において人口は減少
※最も減少率が大きいのは秋田県(79.6)

・2045年においては、東京都を除く全道府県において人口は減少
※最も減少率が大きいのは秋田県(58.8)

不動産投資は賃料を払ってくれる入居者がいることではじめて完成する投資スキームであるため、人口や世帯数の増加が見込まれる都心エリアの物件の方が地方エリアの物件よりも長期的に安定したキャッシュフローをもたらしてくれるといえそうです。

 

資産価値が落ちにくい

首都圏における中古マンション70㎡換算価格は、2015年から2021年1月にかけて緩やかながらも安定的に上向きに推移しており、その資産価値の落ちにくさを表しています。

特に東京都23区は首都圏エリア(横浜市・千葉市・さいたま市)の中でも価格の伸び率が最も高く、2015年から2021年1月にかけての約5年間で37%以上も上昇しています。同データにおいて東京都23区内の価格上昇率を比較すると、都心6区(千代田区・中央区・港区・新宿区・文京区・渋谷区)が最も高く、41%以上もの価格上昇をみせています。東京都は不動産の流通量が多いため、底堅い需要に支えられて資産価値が維持されていると考えられます。

長期間に渡って保有するのであれば、資産価値の安定した都心エリアの物件の方が地方エリアの物件よりも適しているといえるでしょう。

 

まとめ

都心エリア(特に東京都23区)は、今後も不動産賃貸および売買のいずれにおいても安定的なマーケットであると推測できそうです。長期的スパンで総人口および一般世帯数が増加ないし横ばいに推移するという予測がされているため、賃貸需要は引き続き底堅いと考えられることに加えて、マンション価格が安定的に推移していることから、資産価値を保ちながら安心して長期保有ができるでしょう。

人口減少や価格下落といったリスクを抑えることが期待できる都心エリアの物件は、利回りが低いとしても安定資産として有力な投資候補の一つです。

なお、本記事における解説情報はあくまで一般論であり、個別具体的な考え方や手法は投資物件によってケースバイケースです。より詳細な情報やノウハウ等についてはお気軽にお問い合わせください。