日本不動産で物件選びをする中で、物件に関する情報の確認手順が分からず、物件選びが難航している投資家も少なくないでしょう。
本記事では、日本不動産で物件選びをする際に数多くの情報の中から適切な投資判断に必要な情報だけをピックアップするための確認手順を7つ解説します。
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1-日本不動産で物件選びをする際の7つの確認手順
┗1-1物件所在地
┗1-2交通利便性
┗1-3間取り
┗1-4築年数
┗1-5入居者の有無(入居率)
┗1-6固定費
┗1-7現況利回り・賃料
2-まとめ
日本不動産で物件選びをする際に、営業図面等の物件情報からピックアップして確認すべき項目は以下7つです。
■物件所在地
■交通利便性
■間取り
■築年数
■入居者の有無(入居率)
■固定費
■現況利回り・賃料
いずれもその物件の賃貸需要の旺盛さやリスクの高さ、収益性を測る重要な投資判断上の材料です。
物件所在地とは、物件の住所のことで、賃貸需要が旺盛なエリアか否かを判断する材料として用います。
具体的には、そのエリアの将来的な人口推移や生活インフラ(コンビニ、スーパー、飲食店、学校、医療機関等)の充実度等から、「このエリアに住みたい人はいるか?」という視点で賃貸需要の旺盛さを考えましょう。
物件がいくら新しく、広く、賃料が安くても、人がいない奥地や限界集落等の賃貸需要が少ないエリアでは入居者を見つけるのが困難といえるため、まずは物件所在地から賃貸需要の旺盛さを判断しましょう。
交通利便性とは、駅やバス停、幹線道路等へのアクセスの良さのことで、その物件が生活しやすい場所にあるか否かを判断する材料として用います。
具体的には、最寄りの駅やバス停までの徒歩分数、主要駅までの所要時間、自動車での幹線道路への行きやすさ等から、「通勤や通学をはじめ、移動がしやすい場所か?」という視点でその場所での生活環境の良さを考えましょう。
賃貸需要があるエリアの中であっても、最寄りの駅やバス停から遠かったり、主要駅まで直通していなかったりする場所にある物件は、入居者探しで苦戦する可能性があるため、交通利便性は重要な事項です。
全国宅地建物取引業協会連合会が2020年に公表した「住居の居住志向及び購買等に関する意識調査」によれば、住宅を借りる際は「交通の利便性がよい」ことを重視するという回答が「家賃」に次いで2番目に多く、全体の51.1%にのぼりました。
同調査において交通利便性を重視するとの回答が特に多かったのは、20代(62.0%)および30代(55.4%)であることから、今後の賃貸経営においては交通利便性の重要度がさらに高まることが予測されます。
間取りとは、1K、2LDK、3DKといった部屋の配置のことで、その間取りがそのエリアの賃貸需要に適合しているか否かを判断する材料として用います。
具体的には、そのエリアにおいて最も多く賃貸物件を探している世帯の家族構成(単身者かファミリーか、子供はいるか)や年齢(若年層か中高年者層か)等から、その物件の間取りにニーズがあるかを考えましょう。
単身者からの賃貸需要が多いエリアにファミリー向けの間取りの物件を購入したり、部屋の広さや多さが最重要視されるエリアに狭小ワンルームを購入したりしても、エリアのニーズとマッチしていないため入居者探しで苦戦する可能性があります。
そのエリアのニーズをまずは把握し、そのニーズを満たせる物件を購入するのが合理的な投資判断といえるでしょう。
築年数とは、その物件が建てられてからの経過年数のことで、以下2つの点について測る材料として用います。
・設備の老朽化の進行具合
・耐震性
新築や築浅の物件には最新鋭の設備が取り付けられていたり、外観も直近のトレンドを反映したおしゃれなデザインになっていたりするのに対し、築年数が古い物件には旧来の古い設備や外観がそのまま残っていたり、老朽化が進んでいたりする傾向があります。
築年数が古い物件を購入すると、給湯器やエアコン等の高額設備の交換、室内の大幅なリノベーション、防犯設備(防犯カメラやモニター付きインターホン等)の新設等に多額の費用がかかる可能性があることは認識しておきましょう。
日本の耐震性基準は、「旧耐震基準」と「新耐震基準」の2種類が採用されており、両者の概要は以下の表の通りです。
適用年月 | 耐震性基準※ | 金融機関からの評価 | |
旧耐震基準 | 〜1981年5月31日 | 低い | 低くなりやすい |
新耐震基準 | 1981年6月1日〜 | 高い | 高くなりやすい |
※両基準における耐震性基準は以下の通りです。
旧耐震基準:震度5程度の中規模の地震で大きな損傷を受けない
新耐震基準:震度6程度の大規模な地震で建物の倒壊や損傷を受けない
日本は大規模な地震が頻発する国であるため、耐震性は建物を所有するにあたっては最重要項目の一つであるうえ、「旧耐震基準」の物件は金融機関からの評価が低くなりやすいため、融資を受ける際に不利になってしまう可能性があります。
入居者の有無(入居率)とは、売りに出されている時点で入居者がいるか否か、またはその割合のことで、購入直後のキャッシュフローを見積もるための材料として用います。
一棟物件の場合は全戸のうち1戸でも入居者がいれば購入直後から賃料収入を得られますが、区分マンションの場合は入居率が0%か100%であるため、入居者がいない物件(空室物件)を購入すると収入がゼロになり、投資初月から赤字になるでしょう。
入居率が著しく低い一棟物件や空室の区分マンションを購入する場合は、適切に募集活動を行えば入居者を見つめられる否かを調査したうえ、入居率の低さを材料にして価格交渉をするなどのリスクヘッジをしておくのが得策です。
固定費とは、物件を所有するにあたって定期的に発生するコストのことで、物件を購入する前に正確なキャッシュフローシミュレーションを立てる際の材料として用います。
物件を所有するにあたり発生する主な固定費には以下の表のように6つあり、いずれも毎月ないし数年に一度のペースで支払いが生じるため、キャッシュフローシミュレーションに織り込んでおきましょう。
発生頻度 | 毎月 | 毎年 | 数年に一度 |
費用項目 | ・ローン返済 ・管理委託料・管理費および修繕積立金※区分マンションの場合・共用部分の電気代および水道代※一棟物件の場合 | ・税金 ※固定資産税、都市計画税 | ・損害保険料 |
現況利回り・賃料とは、売りに出されている時点での利回りと賃料収入のことで、それぞれが周辺の相場と比較して妥当な水準か否かを判断する材料として用います。
現況利回り・賃料が周辺相場よりも著しく高いまたは低い場合には、それぞれ以下の表のようなリスクが内在している可能性があるため、購入前に物件の状況を入念に調査しましょう。
現況利回り | 現況賃料 | |
相場よりも高い | ・現況賃料が相場よりも高いリスク ・何らかのネガティブ要因により価格を下げざるを得ない物件であるリスク※1 | ・入居者の入替後に賃料収入が下がるリスク |
相場よりも低い | ・物件価格が相場よりも高いリスク ・現行賃料が相場よりも安いリスク | ・安いままの賃料で契約が続くリスク※2 |
※1:ネガティブ要因には、心理的瑕疵(自殺や事件など)、違法建築等が想定されます
※2:貸主からの賃料値上げ要請に強制力はなく、借主は必ずしも応じる必要はありません
日本では多くのエリアで人口が長期的に減少していくことが予測されていることから、いかにして入居者のニーズにリーチし続けられる物件を購入するかが日本不動産への投資の成否を分けるといえるでしょう。
安定的なパフォーマンスを出せる物件を購入するために、そのエリアにおける賃貸市場に関する情報を入念に確認することは不動産投資において最も重要な項目の一つです。
なお、本記事における解説情報はあくまで一般論であり、個別具体的な考え方や手法は投資物件によってケースバイケースです。
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