日本不動産に投資する際の4つの注意点

日本に不動産という現物資産を保有するにあたって、香港から投資をする場合はどのようなことに注意を払えばいいか、日本特有のリスクはないのかといった点が分からないことも少なくないでしょう。

香港での不動産投資とは大きく異なる点がある可能性もあるため、日本特有の事項について予め確認をしておくことが有効です。

本記事では、日本不動産に投資するにあたって押さえておきたい注意点を4つの観点から解説します。

 

【目次】

1-日本特有のルールやリスクを事前に把握しておこう

2-日本不動産に投資する際の4つの注意点

┗2-1言語の障壁

┗2-2為替リスク

┗2-3税金

┗2-4災害リスク

3-各注意点における確認事項

┗3-1対応言語の確認

┗3-2為替レートの推移

┗3-3税金シミュレーション

┗3-4起き得る災害の確認・損害保険への加入

4-まとめ

 

日本特有のルールやリスクを事前に把握しておこう

 

日本不動産に投資をするということは、日本の法律や税制といったルールに則った投資をする必要があることに加え、日本特有のリスクにも注意しなければなりません。

ルールとリスクを事前に把握しておくことで、万全な備えができたり、正確な資金計画を立てることができたりするため、まずは投資の前提となるこれらの点が重要といえるでしょう。

 

 

日本不動産に投資する際の4つの注意点

 

日本不動産に投資する際の注意点は以下の4つです。

いずれも投資のパフォーマンスを左右し得る事項であるため、投資前に確認をしておきましょう。

 

■言語の障壁

■為替リスク

■税金

■災害リスク

 

言語の障壁

 

日本では、英語をはじめとする外国語を日常生活において使う風習がありません。

世界最大の英語能力指数ランキングであるEF EPIにおいて、日本人の英語力は2020年時点で世界100ヵ国中55位であり、能力レベルは「低い」という判定を受けました(香港は世界100ヵ国中33位で、能力レベルは「標準的」)。

日本では日本語以外の言語が通じないことが多く、不動産投資においても例外ではありません。

日本不動産に関するデータや情報は日本語のものしかないこともあるうえ、不動産業者とのコミュニケーションも日本語がメインになるでしょう。

 

為替リスク

 

日本不動産に投資する際は、不動産と同時に日本円も保有することになります。

日本円という外貨を保有するにあたっては、為替リスクが生じることを忘れてはいけません。不動産投資単体のパフォーマンスのみならず、為替レートの変動も投資全体のパフォーマンスに影響するということを理解しておきましょう。

 

税金

 

日本の不動産投資では、購入・保有・売却の各フェーズにおいて税金がついて回ります。

日本の不動産投資に係る主な税金は以下の通りです。

 

・購入時:不動産取得税、印紙税、登録免許税、消費税等

・保有時:固定資産税、都市計画税、所得税および住民税(賃料収入がある場合)等

・売却時:印紙税、消費税、所得税および住民税(譲渡所得がある場合)等

 

購入時および売却時の税金はそれぞれのタイミングにおいて単発で発生するものですが、保有時の税金は毎年発生するものであるため、ランニングコストの一つとして資金計画に織り込んでおくのが得策です。

 

災害リスク

 

日本は台風や地震およびそれらに付随して発生する洪水や火災といった災害が多い国です。

不動産は現物資産であるため、自然災害に起因する建物の倒壊や損傷、火災等によって最も大きなダメージを受け得る資産の一つでしょう。

 

災害によって建物が損傷すると、多額の修繕費が発生したり、賃貸ができなくなって賃料収入が途絶えたりする可能性があるため、災害リスクは日本に不動産を保有するにあたっては看過できないリスクの一つといえます。

 

 

各注意点における確認事項

 

日本不動産に投資する際の4つの各注意点について、以下の4点を事前に確認することで対策をしましょう。

 

■対応言語の確認

■為替レートの推移

■税金シミュレーション

■起き得る災害の確認・損害保険への加入

 

対応言語の確認

 

日本の不動産業者(売買仲介業者や賃貸管理会社)にコンタクトを取る際は、まず日本語以外の言語に対応しているかを確認するのが得策です。

日本の不動産業者であっても外国人スタッフが常駐しており、英語や広東語等の外国語に対応している業者もいるため、香港からの投資家にとっても心強いパートナーを見つけることができます。

 

不動産投資のパフォーマンスは物件やマーケットに関するデータの参照量、各関係者(不動産業者や税理士等)とのコミュニケーションの質によって左右されるため、日本語以外の言語に対応できる関係者を選ぶことによって、円滑でハイパフォーマンスな投資ができる可能性が高まるでしょう。

 

為替レートの推移

 

2000年以降の20年以上における香港ドルの対円レートは、2008年のリーマンショック時に大幅な円高・香港ドル安になり、その後2012年に始まったアベノミクス相場で大幅な円安・香港ドル高になりました。

 

2016年以降は一方的な上昇または下落を続けている傾向はなく、概ね小幅な値動きで安定的に推移しています。

 

日本不動産への投資パフォーマンスは為替レートの影響も受けるため、香港ドルが高く日本円が安い時に日本円を買い、香港ドルが安く日本円が高い時に香港ドルを買い戻せば、不動産投資での利益と為替差益を二重取りできるということです。

 

例えば、1香港ドル15円の時に6,000万円(400万香港ドル)で購入した物件を、1香港ドル10円の時に売却したとすると、物件の売却益が全く出なかったとしても600万香港ドルを回収することができ、為替差益だけで200万香港ドルの利益を出すことができます。

 

為替レートが上記の例と逆に動いた場合は為替差損が出てしまうため、外貨同士を両替するタイミングも重要な損益ポイントの一つということです。

 

税金シミュレーション

日本の不動産投資では税金が多く発生するため、どのタイミングでいくらの税金が発生するかを資金計画に織り込んでおく必要があります。

税金シミュレーションに漏れがあると期日通りに税金を支払うことができなくなり、延滞金が発生したり、物件を差し押さえられたりする可能性があるため、税金シミュレーションを万全に行って納税用のキャッシュを確保しておきましょう。

 

起き得る災害の確認・損害保険への加入

 

日本は台風や地震などの自然災害が多く、それらによって洪水や火災、建物の損傷等の二次災害が発生するリスクが高い国です。

日本不動産に投資をする際は、「ハザードマップ」という災害リスクの情報が記された地図を参照する、過去に当該エリアで起きた災害とその時の被害状況を確認する、損害保険に加入するといった対策が有効でしょう。

 

日本の損害保険には、火災保険や地震保険といった台風、地震、水害、火災等による損害に備えられる商品に加えて、火災等の事故により住宅が損害を受けた場合に被った賃料収入の損失を補償する特約(家賃収入特約)も存在します。

 

起き得る災害を事前に確認しておくという予防策と損害保険への加入という善後策を併せて講じておくことで、災害リスクを軽減することができるでしょう。

 

 

まとめ

 

日本不動産には日本特有のルールやリスクがついて回るため、それらについて事前に確認し、対策をとっておくことが重要です。

言語が通じないと日本不動産への投資自体が満足にできなくなる可能性があり、為替リスク・税金・災害リスクといった事項は投資のトータル収支に直結するため、確認と対策は必須といえるでしょう。

 

なお、本記事における解説情報はあくまで一般論であり、個別具体的な考え方や手法は投資物件によってケースバイケースです。

より詳細な情報やノウハウ等についてはお気軽にお問い合わせください。