安心の不動産投資のために加入すべき3つの保険と4つの特約

安心の不動産投資のために加入すべき3つの保険と4つの特約

地震や豪雨といった自然災害が頻発する日本での不動産投資では、損害保険への加入は必須ともいっても過言ではないでしょう。

自然災害やその他事故等によって建物に被害が及ぶと、貸しに出せなくなって賃料収入が途絶えたり、巨額の修繕費用を支払わなければいけなくなったりするためです。

損害保険には火災保険や地震保険のベーシックな商品から、細かな特約まで数多くのバリエーションが存在します。

本記事では、数ある保険や特約の中で不動産オーナーとして特に加入すべきといえる3つの保険と4つの特約について解説します。

 

【目次】

1-安心の不動産投資のために加入すべき3つの保険
┗1-1火災保険
┗1-2地震保険
┗1-3施設賠償責任保険
2-安心の不動産投資のために加入すべき4つの特約
┗2-1賃貸建物所有者賠償責任危険補償特約
┗2-2家主費用特約
┗2-3家賃収入特約
┗2-4事故再発防止等費用特約
3-入居者にも特約付きの損害保険に加入してもらうべき
4-まとめ

 

安心の不動産投資のために加入すべき3つの保険

不動産投資における自然災害やその他事故等への備えとして、損害保険への加入が有効です。損害保険にはいくつかの種類がありますが、安心の不動産投資のためにオーナーが加入すべきものは以下3つです。

■火災保険
■地震保険
■施設賠償責任保険

 

■火災保険

火災保険とは、火災や風水災などの自然災害や事故等が原因で家財または建物が損害を受けたときに、保険金を受け取ることができる保険です。支払う保険料は補償内容(補償対象や期間等)や建物の評価額および所在地等の要素によって変動し、受け取れる保険金は加入時に設定した保険金額を上限とした実損害額となります。

火災保険の補償が受けられる具体的なケースとしては、火災はもちろん、落雷や台風、豪雨などの自然災害、盗難・破損・爆発などの事件事故(人為的なものも含む)、建物外部からの物体の落下・飛来・衝突などの事故等が挙げられます。

火災保険の補償対象は「家財」と「建物」であり、加入する際に補償対象を「家財のみ」・「建物のみ」・「家財および建物」のいずれかの中から選択します。

「家財」とは、建物内にあって動かせる物を指し、パソコンやテレビなどの家電製品、タンスやテーブルなどの家具が該当します。高価な貴金属および書画骨董は「家財」には含まれず、別枠で補償を付けない限りは補償対象にならないないため注意しましょう。「建物」とは、建物本体および建物に付帯していて動かせない物を指し、建物内に設置されたエレベーター、塀、附属施設(物置や車庫等)などが該当します。

保険会社や商品によってサービス内容の違いはありますが、火災保険に加入することで幅広い災害に備えることができるでしょう。

 

■地震保険

地震保険とは、地震および噴火またはこれらにより発生した津波による損害を補償する保険です。一般的に地震保険は単独での加入はできず、火災保険に付帯させる形で加入する必要があります。

地震保険の補償対象は火災保険と同様に家財および建物ですが、火災保険では地震に起因する火災等によって発生した損害については補償されないのが一般的です。地震保険は、火災保険ではカバーできない補償対象を補完する役割を担っているといえるでしょう。

地震保険の補償内容は、損害発生時における建物の損壊程度によって異なり、損壊程度は重い順に以下4つのレベルに分かれています。支払われる保険金額も各レベルによって異なります。

・全損(地震保険金額の100%が支払われる)
・大半損(地震保険金額の60%が支払われる)
・小半損(地震保険金額の30%が支払われる)
・一部損壊(地震保険金額の5%が支払われる)

保険金額について、地震保険は火災保険とセットで契約することになっているため、保険金額は以下2種類の上限があります。

・火災保険金額の30%~50%
・建物5,000万円、家財1,000万円

火災保険金額が1億5,000万円の建物では地震保険の補償限度額は5,000万円まで、火災保険金額が5,000万円の建物では地震保険の補償限度額は2,500万円まで、火災保険金額が4,000万円の家財では地震保険の補償限度額は1,000万円までということです。

 

■施設賠償責任保険

施設賠償責任保険とは、所有物件の安全性の維持・管理の不備や構造上の欠陥または施設の用法に伴う仕事の遂行が原因となり、他人にケガをさせたり(対人事故)、他人の物を壊したり(対物事故)したために、被保険者(オーナー等)が負担する法律上の損害賠償責任を補償する保険です。建物に設置された看板や外壁タイル等が落下して通行人に怪我をさせたり、車に傷を付けたりした場合に適用されることがあります。

施設賠償責任保険では、保険期間中に発生した建物および設備に係る事故に起因する損害賠償や訴訟費用、事故発生時の緊急措置費用等が補償対象となります。

建物を長期間運用していると、設備の老朽化による事故が起きるリスクが高くなるうえ、死亡事故や大事故に繋がると損害賠償が巨額になることも想定されるため、不測の事態に備えるために加入しておくと安心でしょう。

 

安心の不動産投資のために加入すべき4つの特約

火災保険および地震保険、施設賠償責任保険によって自然災害や事故等による一次的な損害を幅広くカバーすることができますが、賃貸経営への損害という二次災害のリスクまでカバーできるとは限りません。

賃貸経営への損害という二次災害のリスクに対しては、各保険において特約に加入することで補償内容を拡充させることができます。自然災害や事故等に起因する賃貸経営への損害に備えるために不動産オーナーが加入すべき特約は以下の4つです。

■賃貸建物所有者賠償責任危険補償特約
■家主費用特約
■家賃収入特約
■事故再発防止等費用特約

 

賃貸建物所有者賠償責任危険補償特約

賃貸建物所有者賠償責任危険補償特約は、オーナーが所有する賃貸建物における事故等により、他人にケガを負わせたり他人の物を壊したりした結果として法律上の損害賠償責任を負担することにより被った損害を補償する特約です。

賃貸建物所有者賠償責任危険補償特約の適用事例としては、室内の給湯器が故障して漏水が発生し、下階住戸の家財やクロスに被害が及んだ場合が想定されます。給湯器というオーナーの所有物における事故で他人に損害を与えてしまったため、オーナーには損害賠償責任を負わなければなりません。本件のような場合に、賃貸建物所有者賠償責任危険補償特約に加入していれば、損害賠償についての補償を受けることができるということです。

賃貸経営において、設備の経年劣化は避けられない問題であるため、設備関連の事故に備えるために加入を検討する価値のある特約といえるでしょう。

 

■家主費用特約

家主費用特約は、賃貸住戸内で発生した死亡事故(自殺、犯罪死、孤独死)による空室期間または賃料減額期間における賃料損失および清掃や脱臭などの原状回復費用、遺品整理等のための費用を補償する特約です。

内閣府によれば、日本においては高齢化率(総人口に占める65歳以上人口は割合)が2065年まで、一人暮らしをする65歳以上の割合が2040年まで増加の一途を辿るという予測がされています。高齢化が進み、一人暮らしをする高齢者の割合が増えることによって、孤独死の件数が増えると予測できるでしょう。

賃貸物件において孤独死が発生すると、一般的に心理的瑕疵のある物件として認知されて入居者を付けにくくなるうえ、特別清掃や消臭といった高額な支出に直結するリスクがあります。

家主費用特約に加入することで、死亡事故による損害について一定の補償を受けられる可能性があるため、今後の不動産投資における安心材料となり得るでしょう。

 

■家賃収入特約

家賃収入特約は、賃貸住戸内で発生した火災などの事故により受けた賃料収入の損失を補償する特約です。火災などの事故が起きた場合、火災保険によって家財や建物への損害は補償できますが、修繕や建替等によって部屋を貸し出せない期間の賃料収入までは補償できません。家賃収入特約に加入すれば3ヶ月間・6ヶ月間・12ヶ月間といった期間に渡って、損失となった賃料収入額に相当する保険金が支払われます。

事故等による賃貸経営への影響は、建物や設備への損害という物理的なものに留まらず、賃料収入の逸失という二次的なものも想定されるため、より万全な備えをするために加入を検討するのも選択肢の一つです。

 

■事故再発防止等費用特約

事故再発防止等費用特約は、火災・落雷・破裂・爆発・盗難等の事故による損害が発生し、保険金を受け取る場合に、当該事故の再発を防止する対策として事故再発防止メニューを利用できる特約です。

事故再発防止メニューの具体例として、火災対策としての消火器やスプリンクラーの設置、盗難事件対策としてのホームセキュリティーサービスの導入や防犯設備の設置等が挙げられます。特約によって事故再発防止メニューを利用する際は、メニューの手配から費用の支払いまでを保険会社が行います。

一度発生した損害を再発させないために、建物の防火対策を高めたり、防犯性能を強化したりすることを目的とした特約です。

 

入居者にも特約付きの損害保険に加入してもらうべき

損害保険および特約によって補償される損害は、自然災害や事故等に起因するものに限られず、入居者の故意・過失によって発生するものもあり得るため、オーナーだけでなく入居者にも保険に加入してもらうことが重要といえるでしょう。

入居者過失の具体例として、入居者過失による漏水が原因で下階の入居者の居室に浸水し、上階においては壁と床に、下階においては天井と壁、家財に被害が出たというケースを想定します。上階・下階の入居者がともに損害保険に加入していれば、オーナーが加入している損害保険を使わずに、入居者の損害保険のみで事故の処理を完結させることができる場合があります。

入居者に加入してもらう保険には、借家人賠償責任特約および個人賠償責任特約を付けてもらうことでより賃貸経営の安心性を高めることができるでしょう。借家人賠償責任特約および個人賠償責任特約は、事故等によって発生した原状回復費用や被害者への弁償費用等を補償するものであるため、賃貸住宅というオーナー所有の建物および設備への損害を補償できるためです。

 

まとめ

建物という現物資産を所有し、入居者に貸し出すという不動産投資においては、自然災害や事件・事故のリスクがついて回ります。突発的な損害や出費の発生に備えるためにオーナーのみならず入居者にも保険に加入してもらうことで、安心して不動産投資を行うことができるでしょう。

なお、本記事における解説情報はあくまで一般論であり、個別具体的な考え方や手法は投資物件によってケースバイケースです。より詳細な情報やノウハウ等についてはお気軽にお問い合わせください。