空室が長期化する原因と3つの対処法

空室が長期化する原因と3つの対処法

賃料収入が主たる収入源である不動産投資においては、空室の長期化によって収入が減少する期間が長くなるため、長期空室は最も避けるべきリスクの一つであるといえます。

長期空室への対策は、空室自体の発生防止や発生直後の対策とは別次元のものであるため、根本的に異なった考え方や対処法が必要となる点もあります。

そこで、本記事では長期空室による悪影響および空室が長期化する原因を述べたうえで、対処法について3つの観点から解説します。

 

【目次】

1-長期空室による3つの悪影響
┗1-1キャッシュフローの悪化
┗1-2住戸内設備の劣化または故障
┗1-3不人気物件という印象
2-空室が長期化する3つの原因
┗2-1募集条件とマーケットのミスマッチ
┗2-2お客様および仲介業者の認知度低下
┗2-3仲介業者へのインセンティブ不足
3-長期空室に対する3つの対処法
┗3-1募集条件の緩和
┗3-2仲介業者への周知活動
┗3-3仲介業者へのインセンティブ増額
4-まとめ

 

長期空室による3つの悪影響

長期空室が不動産投資において最も避けるべきリスクの一つである理由は以下の3点です。長期空室によって、投資の収益性に加えて住戸内の設備というハード面、物件に対する心象というソフト面にも悪影響が及ぶ可能性があります。

■キャッシュフローの悪化
■住戸内設備の劣化または故障
■不人気物件という印象

 

キャッシュフローの悪化

不動産投資において賃料収入という主たる収入源を失うことは、投資として危機的な状態といえます。賃料収入の有無に関わらず、ローン返済や管理費および修繕積立金(区分マンションの場合)、税金といった固定費は発生するため、キャッシュフローが悪化して月単位の収支が赤字になってしまうリスクがあるためです。

固定費に加えて、突発的な修繕費等の変動費も毎月のキャッシュフローの中から賄える財務状態が理想的ですが、長期空室によるキャッシュフローの悪化によって各種費用を賄えなくなると、賃料収入以外の収入(給与収入や事業収入など)や預貯金等の手元資金から補填せざるを得なくなることも想定されます。

 

住戸内設備の劣化または故障

住戸内にはエアコンやフローリング(床材)、クロス(壁紙)、水回りをはじめとする種々の設備があります。長期空室が発生すると長期間に渡って部屋に誰も入らなかったり、設備を全く稼働させなかったりすることになりがちであるため、一部の設備が劣化または故障しやすくなるかもしれません。

エアコンを長期間に渡って稼働させずにいると内部の潤滑油やモーターの劣化が早くなるため、故障しやすくなることがあります。空室時は住戸内の窓にカーテンを設置しないのが一般的であるため、フローリングやクロスに直射日光が当たり続けることで日焼けし、早期劣化に繋がることがあるでしょう。直接的な設備の故障または劣化のみならず、換気をせずにいることで湿気によってカビが生えたり、水道を使用しないことで台所や洗濯パンの封水が切れて排水口から悪臭や害虫が発生したりすることもあります。

長期空室が間接的な原因となって、住戸内設備に悪影響が及ぶことがあり得るため、ハード面にとっても長期空室はネガティブ要素といえるでしょう。

 

不人気物件という印象

空室が長期化している物件においては、長期間に渡って募集広告を出し続けることになるでしょう。いつまでも募集活動をしている物件には、お客様や仲介業者から「入居者がつかない不人気物件」というネガティブイメージが定着してしまうリスクがあります。

募集活動の期間が長くなるほど、お客様や仲介業者の中で不人気物件というネガティブイメージが定着してしまい、入居検討や紹介の選択肢から外れてしまう可能性があるでしょう。

 

空室が長期化する3つの原因

不動産投資をする中で、転勤や自宅購入などを理由とする退去は不可避的なものであるため、空室の発生自体を完全に回避するための対策を講じる必要性は低いといえますが、空室の長期化は原因を分析して対策を講じる必要性および緊急性が高いといえるでしょう。空室が長期化する原因として、以下の3点が考えられます。

■募集条件とマーケットのミスマッチ
■お客様および仲介業者の認知度低下
■仲介業者へのインセンティブ不足

 

募集条件とマーケットのミスマッチ

募集条件とは賃料や礼金、フリーレント期間の有無等をいい、マーケットとは物件周辺エリアにおける賃貸物件の市場をいいます。募集条件とマーケットのミスマッチがあるということは、物件周辺エリアの競合物件よりも賃料や礼金が高い、フリーレント期間がないなど、お客様のニーズに適合できていない可能性があるということです。

各エリアのマーケットにはそれぞれニーズ(お客様が求める間取りや予算、初期費用等の条件)と相場(賃料および礼金の水準と上限)が存在します。募集条件が当該マーケットのニーズと相場から乖離していると、長期間に渡って入居者が見つからない状況になりやすいでしょう。

物件周辺エリアの競合物件がどのような条件で募集活動をしているか入念に調査したうえで、マーケットにマッチした条件で募集活動を行うことが得策といえます。

 

お客様および仲介業者の認知度低下

賃貸マーケットにおいては、募集期間が長い物件ほど認知度が低くなりやすい傾向があります。新着物件の情報が毎日のように更新されており、新着物件の情報が増えるとともに従前から募集に出ている物件は埋もれやすくなるためです。お客様が使うポータルサイトに掲載される情報や管理会社の営業マンが仲介業者に告知する物件情報(営業図面やマイソク等)は、募集して間もない物件の方が目を引きやすいということです。

新着物件の情報が累積した結果として、長期空室になっている物件は新着物件に埋もれてしまい、お客様および仲介業者からの認知度が低下しやすくなります。物件の募集情報が認知されていなければ、募集条件の変更をはじめとする対策を講じたとしても成約に至る可能性が低いままである場合が多いため、お客様および仲介業者に認知してもらうことが重要といえるでしょう。

 

仲介業者へのインセンティブ不足

仲介業者は空室物件に入居者を付ける度に、「広告料」や「AD」と呼ばれるインセンティブを貸主側から受け取っているのが一般的です。ADは成約賃料の◯ヶ月分(0.5〜2ヶ月程度が平均的)という報酬体型になっていることが多く、支払われる金額は貸主側が物件に応じて個別に決定します。

仲介業者の営業マンには毎月の売上ノルマや営業目標があるのが一般的であるため、数字を稼げる物件、すなわちADの高い物件を優先的に成約させたがる傾向があります。仲介業者のビジネスモデルやモチベーションを考慮すれば、ADが全くないまたは低い物件は彼らにとって取り扱うメリットが少ないため、お客様への紹介候補として挙がらないことが考えられるでしょう。

 

長期空室に対する3つの対処法

長期空室に対する対処法としては、お客様および仲介業者の双方向に広く訴求していくことが重要です。空室が長期化する原因を踏まえて、以下の3つの対処法を併行して行うことで長期空室への対処を万全にしましょう。

■募集条件の緩和
■仲介業者への周知活動
■仲介業者へのインセンティブ増額

 

募集条件の緩和

募集条件とマーケットにミスマッチがあると入居者が付きにくくなるため、募集条件に長期空室の原因があると考えられる場合は、周辺エリアの平均的な募集条件または平均値を少し下回る条件まで緩和するのが効果的かもしれません。

具体的な条件緩和の例としては、賃料の減額、礼金の減免、フリーレント期間の付与といった方策が挙げられます。それぞれの条件緩和を行う際に、「◯月末までの契約開始に限る」という期間限定の文言を付け加えることで、早期成約に結びつけられる効果も期待できるでしょう。

 

仲介業者への周知活動

新着物件の累積数が増えたことで、募集情報の認知度が低下していることが考えられる場合は、仲介業者に対して物件の周知活動を行うことが効果的かもしれません。仲介業者への周知活動の具体的な方法として、仲介業者に対して直接電話やメール、訪問活動をするということが挙げられます。

賃貸管理会社に仲介業者への周知活動を依頼することもできますが、賃貸管理会社と並行してオーナーが自ら周知活動をするのも選択肢の一つです。賃貸管理会社にも動いてもらいながら、広い範囲に物件の募集情報を拡散し、お客様への紹介候補に挙げてもらえるように周知徹底しましょう。

 

仲介業者へのインセンティブ増額

実際にお客様を物件に案内し、成約に至らせるのは仲介業者であるため、インセンティブという分かりやすい形で仲介業者のメリットを提示するのは合理的な対処法といえるでしょう。仲介業者のビジネスモデルでは、空室を埋める都度発生するインセンティブが主たる収入源となっている点を考慮すると、仲介業者の利益に直結するような訴求活動するというのが得策といえそうです。

 

まとめ

空室の長期化には3つの原因が考えられ、それぞれの原因に応じて合理的な対策を講じることで解決を図ることは十分に可能でしょう。周辺エリアの競合物件の募集条件と比較しながら、空室が長期化している原因を分析し、どの方面に・どのような方法で訴求するかを決定することが重要といえます。

なお、本記事における解説情報はあくまで一般論であり、個別具体的な考え方や手法は投資物件によってケースバイケースです。より詳細な情報やノウハウ等についてはお気軽にお問い合わせください。