海外不動産投資に関する情報を収集する中で、以下のような疑問を持つことはないでしょうか?
・初心者には海外不動産投資のハードルが高いのでは?
・海外不動産投資をする理由やメリットは?
・海外不動産投資にはどんなリスクがあるの?
日本人が海外不動産を購入・運用・売却するというのはリスクが高く難しいと考えられることも多いですが、近年では海外不動産投資に精通した不動産会社や金融機関が増えてきています。
初心者でも日本にいながら世界中の不動産に投資をすることができるため、リスクの分散とポートフォリオの拡充を図るために海外不動産投資を検討するのも合理的な選択といえます。
本記事は「海外不動産投資初級編」の記事群の1本目です。全6本の記事をお読みいただくことで、初心者が抱える海外不動産投資をするうえでの疑問や不安を解消することができるでしょう。
初心者でも海外不動産投資はできるということをご理解いただき、資産形成に役立てていただければ幸いです。
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初心者でも海外不動産投資をするべき理由は以下の3つです。
■投資の原則は分散投資
■国内不動産は価格が高止まりしている
■日本は人口減少が進行していく
国内の資産のみでポートフォリオを組むことは長期的な目線で見ると安全な選択肢とはいえないため、海外の資産にも目を向けることが重要です。
「卵は一つのカゴに盛るな」という投資格言にもあるように、投資の原則は分散投資です。特定の資産だけに集中して投資をするよりも、多種多様な資産に分散して投資を行うことでリスクを分散させた方がポートフォリオの安全性を高めることができます。
株式や不動産といった資産種別を分散していたとしても、投資対象エリアが日本国内のみであれば、分散投資が万全にできているとはいえないでしょう。国内資産のみに集中投資をしていると、自然災害や経済ショックなどの日本特有の局地的なダメージが全資産を直撃することで、短期間で資産が大きく減少してしまうリスクがあるためです。
2011年3月11日に発生した東日本大震災の際には、わずか3営業日で東京証券取引所第1部上場銘柄の97%が値下がりし、日経平均株価の下げ幅は10.55%という歴史的な下落を記録しました。一方でアメリカの代表的な株価指数の一つであるS&P500においては東日本大震災による大きな価格下落は見られませんでした。
この時に日本株式をはじめとする国内資産のみでポートフォリオを組んでいた投資家と海外資産にも分散投資をしていた投資家とでは資産への影響に大きな差が出たでしょう。
ポートフォリオが国内資産のみに偏重している場合は、海外資産もポートフォリオに組み込むことで、集中投資によるリスクを回避するのが得策といえます。
2021年12月28日に国土交通省が発表したデータによれば、2010年平均を100とする不動産価格指数(区分所有マンション)は以下の図のように右肩上がりで推移しており、2021年9月時点での数値は170にも上っています。
※出典:国土交通省 不動産・建設経済局不動産市場整備課
株式会社東京カンテイの調査によれば、東京都内における新築マンションの平均価格と平均年収の関係を表す「年収倍率」は13.4倍であり、2年前の全国平均である8.4倍を大きく上回る結果となりました。住宅ローンは世帯年収の5倍以内が目安とされていますが、共働き世帯の増加や低金利の影響を受けて上昇しています。
世帯年収の13.4倍もの金額を出さなければ東京都内では新築マンションが買えないという状況からも、マンション価格の高止まりが示唆されているといえるでしょう。
目下のところは右肩上がりの推移が継続していますが、日本のインフレ率およびGDPは2000年以降低調な推移を続けていることを加味すると、国内不動産の価格に上昇余力があるか否かには疑問が残ります。
海外不動産との比較で評価しても、現在の国内不動産は割高な水準といえるでしょう。Global Property Guideのデータによれば、東京の不動産は香港、ロンドン、ニューヨークなどに次いで世界の都市で6番目に高い(平米あたりの単価ベース)ことが示されています。
国内不動産を中心に資産規模の拡大を考えている場合は、国内不動産マーケットが飽和状態にある可能性を認識し、割安で上昇余力のある海外不動産も視野に入れることでポートフォリオ全体のバランスをとることも検討しましょう。
国立社会保障・人口問題研究所の「日本の地域別将来推計人口」によれば、日本の総人口は2015年からの30年間で16.3%も減少すると予測されています。
不動産投資は買い手および借り手の存在があって完成するスキームであるため、人口減少が見込まれるエリアに集中的に投資を続けるのは得策とはいえないでしょう。
国内不動産を中心に資産規模の拡大を考えている場合は、日本の人口減少に伴って国内不動産マーケットが縮小する可能性を認識し、人口増加の恩恵を受けられる海外不動産も視野に入れることを検討する必要がありそうです。
海外に資産を持つにあたり、株式や債券といった選択肢もある中で不動産が特におすすめの理由は以下の2つです。
■現金一括購入以外の方法でも投資できる
■安定的な長期投資を行いやすい
自己資金が少ない状態でも始めることができ、長期目線で安定的な資産形成をしやすいという点で初心者でも十分に取り組める投資といえます。
従来、海外不動産投資は現金一括でしか行えないと思われがちでしたが、近年では海外不動産投資に対して融資をする金融機関が増えてきています。
現在は様々な資産を担保にして融資を受けることで、現金一括購入以外の方法でも海外不動産に投資をすることが可能です。
保有中の資産を売却せずに資産規模の拡大を図りたい方や自己資金が少ない状態から海外不動産投資を始めたい方は検討する価値のある資金調達方法といえます。
融資を受ける際に担保として提供できる資産には以下のようなものが挙げられます。
・現預金
・有価証券(株式や債券)
・国内不動産
・海外不動産
資産を担保に融資を受けて海外不動産投資をする方法については、以下のリンクより「海外不動産投資でローンを組む方法5選!」の連載記事をご参照ください。
①現金一括で購入または現金を担保に融資を受ける
②株や債券を担保にする
③国内不動産を担保にする
④海外不動産を担保にする(国内金融機関編)
⑤海外不動産を担保にする(海外金融機関編)
アメリカ、ロンドン、フランス、香港の不動産価格は1990年代から長期的に概ね右肩上がりで安定推移しています。
アメリカ同時多発テロ(2001年)、リーマンショック(2008年)、コロナショック(2020年)といった世界経済を揺るがす大きなネガティブイベントが発生しても、アメリカやヨーロッパの不動産は株式や債券ほどの大きな暴落をせずに長期的に価値を高めているということです。
上掲のような世界的な経済ショックの発生時には企業の倒産等によって株式や債券は大暴落に見舞われ、巨額の損失を出した投資家が世界中に数多くいるでしょう。
経済ショックの中でも価格が比較的安定しているアメリカやヨーロッパの不動産は、長期的に保有する資産に適していると評価できます。長期的に価格が右肩上がりで安定推移しているということは、浮き沈みする経済の波の中でも売却益を狙っていきやすい安定資産といえるためです。
不動産投資を検討するにあたり、価格が高止まりしており長期的に人口が減少していく国内不動産のみを投資対象とするのは安全な投資とはいい難いでしょう。
海外不動産投資は融資を活用することで初心者であっても少ない自己資金から始めることができるうえ、株式や債券よりも経済ショックへの耐性があると考えられることから、安定的な長期投資をすることも十分に可能です。
ご自身の資産状況や投資の目的等を勘案して、どのような方法で資産形成をするのが最も合理的かをプロの意見も聞きながら客観的に判断するのが、海外不動産投資を成功に導く近道になるかもしれません。
なお、本記事における解説情報はあくまで一般論であり、個別具体的な考え方や手法は投資物件によってケースバイケースです。より詳細な情報やノウハウ等については、お気軽にお問い合わせください。