投資目的から考える!日本不動産は新築と中古、どっちを購入すべき?

日本での不動産投資において新築物件と中古物件のいずれに投資をする方がいいかという点は、プロの間でも意見が分かれる難しい問題の一つです。

 

不動産業者の営業活動においても本問題については異なる見解が混在しているため、日本での不動産投資の経験が浅い投資家は何を基準に投資判断をすればいいか迷うことが多いのではないでしょうか?

 

そこで、本問題について自分に最適な答えを導くための考え方について、日本で不動産投資をする3つの目的という見地から解説します。

 

 

【目次】

 

1-日本で不動産投資をする3つの目的

┗1-1キャピタルゲイン(売却益)

┗1-2インカムゲイン(家賃収入)

┗1-3節税対策

2-投資目的から考える!日本不動産は新築と中古、どっちを購入すべき?

┗2-1キャピタルゲインが目的の場合

┗2-2インカムゲインが目的の場合

┗2-3節税対策が目的の場合

3-まとめ

 

日本で不動産投資をする3つの目的

 

国内外の投資家が日本で不動産投資をする主な目的は以下の3つです。

 

■キャピタルゲイン(売却益)

■インカムゲイン(家賃収入)

■節税対策

 

日本は先進国でありながら不動産価格は世界的にみて割安であるということから、コストパフォーマンスの良い安全資産として世界のマネーが流入しています。

 

日本で就労やビジネスをしており納税している人の間では、節税対策として不動産投資が行なわれているケースもあります。

 

 

キャピタルゲイン(売却益)

 

キャピタルゲインとは、不動産の値上がりによる売却益のことです。

 

国土交通省の発表によれば、日本の不動産価格指数(区分所有マンション)は安定的な右肩上がりで推移しており、2010年から2021年にかけて60%以上も上昇しています。

 

日本の不動産は、香港、ロンドン、ニューヨークなどの世界の主たる先進国と比べると割安な価格で購入できることから、キャピタルゲインを目的として国内外からの投資マネーが日本(特に東京)の不動産に集まっています。

 

 

インカムゲイン(家賃収入)

 

インカムゲインとは、所有する不動産を賃貸に出して得られる家賃収入のことです。

 

家賃収入の安定性は借主からの賃貸需要の旺盛さに比例するため、人口推移がインカムゲインの長期的な安定性を測る指標の一つとなります。

 

日本においては人口減少が進んでおり、国立社会保障・人口問題研究所が発表した「日本の地域別将来推計人口」によれば、2030年以降は全都道府県において人口が減少に転じるという予測がされていますが、東京都は例外といえます(以下の表参照)。

 

<東京都における将来推計人口>

2015年 2030年 2045年
人口(千人) 13,515 13,883 13,607
増減率(%)
※対前集計時点
+2.72% -1.99%

出典:日本の地域別将来推計人口(国立社会保障・人口問題研究所)

 

同データによれば、東京都の人口は2030年まで上昇を続け、下落に転じた後の2045年においても15年間の減少割合は1%台にとどまります。

 

東京都の賃貸需要は安定的な人口推移に下支えされて、長期的に堅実さを維持できるといえるでしょう。

 

 

節税対策

 

節税対策とは、日本で就労やビジネスをしており納税している人が不動産投資(不動産賃貸業)というビジネスにおいて経費を生じさせることで所得を圧縮し、所得税および住民税を抑えることです。

 

日本で不動産を所有すると、減価償却費という帳簿上のみに発生する経費を使うことができるため、実際の出費を伴わずに所得を圧縮することができます。

 

減価償却費を大きく計上することで不動産賃貸業での収支を帳簿上赤字にすることができ、本業からの収入(給与収入、事業収入等)と合算するとトータルの所得が減少するということです。

 

特に納税額が大きい高所得者を中心に節税対策を目的とした不動産投資が行われています。

 

投資目的から考える!日本不動産は新築と中古、どっちを購入すべき?

 

日本での不動産投資において新築物件と中古物件のいずれに投資をする方がいいかという問題は、投資をする目的によって結論が異なります。

 

以下3パターンのように、投資目的ごとに最適解を導いていきましょう。

 

■キャピタルゲイン(売却益)が目的の場合

■インカムゲイン(家賃収入)が目的の場合

■節税対策が目的の場合

 

 

キャピタルゲイン(売却益)が目的の場合

 

キャピタルゲイン(売却益)を目的とする不動産投資においては、以下3つのような結論となります。

 

・一般的には中古物件の方がベター

・新築物件でも希少性の高い物件はキャピタルゲインを狙える

・値上がりが見込まれる、相場よりも安い価格で購入できる場合はいずれでも問題なし

 

一般的に新築物件には新築プレミアムという希少価値があるため、割高な価格が設定されています。築年数の経過とともに価格の下落はほぼ一定のペースで進み、20年目に下げ止まりを迎えるというデータもあることから、一般論としては新築物件より価格が下げ止まった中古物件の方がキャピタルゲインを狙いやすいかもしれません。

 

新築物件でも交通利便性や生活環境が良く、ハイステータスで物件供給の少ないエリアに位置する物件は希少性の高さから値上がりする可能性があります。実際に都心3区(中央区・千代田区・港区)には築15年以上が経過しているにも関わらず、新築時の2倍以上の価格で取引されている物件があります。

 

キャピタルゲインは売却価格と購入価格の差額であるため、新築物件であっても中古物件であっても希少性の高さから値上がりが見込まれる物件や価格交渉等によって相場よりも安く購入できた物件ではキャピタルゲインを狙える可能性は十分にあるでしょう。

 

 

インカムゲイン(家賃収入)が目的の場合

 

インカムゲイン(家賃収入)を目的とする不動産投資においては、以下3つのような結論となります。それぞれのリスク要因を理解して物件選びをすることが重要です。

 

・長期的な賃貸需要が見込めるならばいずれでも問題なし

・新築物件には家賃の下落割合が大きいというリスクがある

・中古物件には修繕費が高くなるというリスクがある

 

インカムゲイン(家賃収入)は入居者がいる限り発生し続けるキャッシュポイントであるため、長期的な賃貸需要が見込める物件であれば新築物件であっても中古物件であっても適切な投資対象となります。その物件が所在するエリアにおける人口推移や求められる間取りから、賃貸住宅としてのニーズがあり続けるか否かを判断しましょう。

 

賃貸住宅は経年とともに家賃が下落していくのが一般的であり、新築物件はその傾向が特に強くみられます。三井住友トラスト基礎研究所によれば、東京23区における理論賃料指数の下落率は以下の図のように築10年目までが最も大きく、それ以降は緩やかになっています。新築物件に投資をする場合には、年間2%前後の家賃下落を想定しておくのが無難といえるでしょう。

 

築年数が経過した中古物件に投資をする場合、住居内の各種設備の修繕費が高くなるリスクがあることを認識しておきましょう。国土交通省が発表した「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」によれば、エアコンや給湯器といった高額設備は11〜15年目で交換時期を迎え、交換費用としてそれぞれ11万円程度が見込まれます。修繕費は築年数が経過した物件ほど高額になる可能性が高いため、中古物件に投資をする場合のリスクとして認識しておく必要があります。

 

 

節税対策が目的の場合

 

節税対策を目的とする不動産投資においては、中古物件が適切な投資対象となるでしょう。不動産投資による節税対策において重要な役割を担っている減価償却費を最も短期間で大きく計上できるのは、以下3つの条件を満たす物件であるためです。

 

・建物金額が高い

・木造または軽量鉄骨造

・築年数が法定耐用年数以上

 

※物件構造別の法定耐用年数は以下の表の通り

構造 法定耐用年数(年)
軽量鉄骨造 19
木造 22
重量鉄骨造 34
RC造・SRC造 47

 

減価償却費は建物金額を基準にして計算されるため、減価償却費を大きく計上するためには建物金額が高い物件が適しているといえます。

 

減価償却期間の観点からは、法定耐用年数が短いかつ築年数が法定耐用年数以上となっている、すなわち築22年以上の木造物件または築19年以上の軽量鉄骨造物件が短期間で減価償却費を計上できる組み合わせです。

 

まとめ

 

日本での不動産投資では、キャピタルゲイン(売却益)・インカムゲイン(家賃収入)・節税対策の3つに投資目的が大別され、そのいずれに主眼を置くかによって新築物件と中古物件のいずれを投資対象とするのが最適かは異なります。

 

自分の不動産投資の目的、物件所在エリアの特性(人口推移、不動産価格の推移等)、当該物件の希少性等を勘案して自分にとって最も合理的な回答を導きましょう。

 

なお、本記事における解説情報はあくまで一般論であり、個別具体的な考え方や手法は投資物件によってケースバイケースです。より詳細な情報やノウハウ等についてはお気軽にお問い合わせください。

 

 

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