日本不動産への投資を検討するにあたり、以下のような点が気になる投資家が多いのではないでしょうか?
・日本不動産にはどのようなリスクがあるの?
・リスクに対してどう対策と備えをしたらいいの?
本記事では、投資前に確認しておくべき日本不動産のリスクとその対策について8つの観点から解説します。
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1-投資前に要確認!日本不動産の8つのリスクと対策
┗1-1空室リスクと対策
┗1-2災害リスクと対策
┗1-3修繕リスクと対策
┗1-4賃料滞納リスクと対策
┗1-5事件事故リスクと対策
┗1-6価格下落リスクと対策
┗1-7賃料下落リスク
┗1-8金利上昇リスクと対策
2-まとめ
投資をする前に確認しておくべき日本不動産のリスクは以下の8つです。
■空室リスクと対策
■災害リスクと対策
■修繕リスクと対策
■賃料滞納リスクと対策
■事件事故リスクと対策
■価格下落リスクと対策
■賃料下落リスク
■金利上昇リスクと対策
空室リスクとは、入居者がいない期間に賃料収入が減少するリスクのことです。
賃料収入は不動産投資の主な収益源であることから、空室リスクは不動産投資における最大のリスクといっても過言ではありません。
賃料収入が減少している期間にも以下のような固定費および変動費は発生し続けるため、空室が長期化すると賃貸経営が破綻してしまうこともあり得ます。
・固定費:ローン返済、管理委託料、税金、管理費および修繕積立金(区分マンションの場合)、共用部分の水道代および電気代(一棟物件の場合)等
・変動費:修繕費、入退去費等
空室リスクへの対策としては、以下3つのような方法が挙げられます。
・賃貸マーケット調査を入念に行い、継続的な賃貸需要が見込める物件を厳選する
・空室率を資金計画に反映させておく
・入退去費のための現金を確保しておく
第一段階として空室率を極力抑えるために、物件選びの段階でそのエリアの賃貸需要を調査・分析して、継続的に入居者を見つけやすい物件を厳選することが重要です。
第二段階として空室が発生することを想定した賃貸経営をすることが必要となります。空室率を20%程度と想定して賃料収入を見積もったうえ、入退去の都度発生する費用に備えるための現金を常時手元に確保しておくのが無難でしょう。
日本は台風や地震が多く、それらに付随して洪水や火災といった災害も頻繁に発生します。災害が多いということは建物が損傷するリスクが高いということであるため、日本不動産に投資するならば災害リスクは看過できないリスクの一つです。
災害によって建物が損傷すると、多額の修繕費が発生したり、賃貸ができなくなって賃料収入が途絶えたりする可能性があるため、災害リスクには万全の対策をしておきましょう。
空室リスクへの対策としては、以下3つのような方法が挙げられます。
・「ハザードマップ」(災害リスクの情報が記された地図)を参照する
・過去にそのエリアで起きた災害とその時の被害状況を確認する
・火災保険や地震保険および特約等に加入する
起き得る災害を事前に想定・確認しておくという予防策と損害保険への加入という善後策を併せて講じておくことで、災害リスクを軽減することができるでしょう。
修繕リスクとは、専有部分(貸室内部)および共用部分(共用廊下や外壁等)の設備が劣化または故障し、修繕や交換をしなければならなくなるリスクのことです。
エアコン、給湯器等の一部の高額設備は、修繕や交換の度に高額な費用がかかる場合があるでしょう。
設備の故障や不具合は突発的に発生することも多いため、修繕や交換に備えて常に現金を確保しておくことが重要といえます。
修繕リスクへの対策としては、以下3つのような方法が挙げられます。
・物件購入前に各設備の交換履歴を売主に確認する
・高額設備の交換周期と費用を資金計画に反映させておく
・修繕費のための現金を確保しておく
物件購入の段階で各設備の交換履歴を売主に確認しておくことで、各設備の劣化状況が分かります。交換費用が高くなりやすい設備については、前回の交換日と目安の交換周期(エアコン、給湯器はともに11〜15年程度)から計算して次の交換時期を見積もり、予算化して計画的に資金を積み立てておくといいでしょう。
賃料滞納リスクとは、入居者が賃料を滞納したために賃料収入を得られなくなるリスクのことです。
賃料収入は不動産投資の主な収益源であることから、入居者がいたとしても賃料滞納があると収支が大きく悪化する可能性があります。
賃料滞納が長期化すると賃料収入が得られなくなるだけでなく、滞納している入居者を追い出さざるを得なくなることもあり、多大な手間(支払督促や訴訟手続等)と費用(弁護士費用等)が発生するでしょう。
賃料滞納リスクへの対策としては、以下3つのような方法が挙げられます。
・既存入居者の滞納履歴の有無および資力を確認する(物件購入前)
・新規入居者の入居審査を厳格化する(物件購入後)
・新規入居者に対して賃貸保証会社への加入を必須とする
既に入居者がいる物件を購入する場合は既存入居者が賃料を支払い続けられるか否かを確認し、購入後に入居する新規入居者に対しては入居審査で職業や収入の安定性等を厳格に審査したうえで賃貸保証会社への加入を必須化するという対策を取れば賃料滞納リスクは大幅に抑えられるでしょう。
事件事故リスクとは、所有物件において入居者の死亡(自殺、他殺、孤独死等)をはじめとする事件事故が発生するリスクのことです。
賃貸住宅は不特定多数の入居者が同時かつ入れ替わり居住する生活拠点であることから、入居者が事件事故を引き起こすリスクがあります。
物件内で事件事故が発生すると、以下5つのような二次被害に発展するリスクが想定されます。
・該当住戸内の特殊清掃や消臭が必要になる
・既存入居者が一斉退去する
・「事故物件」になり入居者が見つけにくくなる
・賃料を下げざるを得なくなる
・売却価格が下落する
日本には「大島てる」という事故物件に関する情報を物件名と事案の概要付きで発信しているサイトがあり、物件における事件事故の情報は瞬時かつ半永久的に拡散されてしまうため、事件事故リスクは重大なリスクの一つです。
事件事故リスクへの対策としては、以下4つのような方法が挙げられます。
・購入前にその物件での事件事故について確認する(ネット調査、売主への直接確認)
・営業図面上に「告知事項あり」という文言がないか確認する
・物件周辺の治安を調査する
・物件内での死亡事故等を補償する損害保険の特約に加入する
事件事故が過去に発生しておらず、今後も発生する可能性が低い物件を購入するとともに、万が一発生してしまった場合に備えておく姿勢が重要です。
価格下落リスクとは、築年数の経過等に伴う物件価格の下落により売却時に損失が出るリスクのことです。
不動産も株式のように価格変動があるため、売却時の価格が購入時よりも下落するリスクがあります。
公益財団法人 東日本不動産流通機構が発表したデータによれば、2021年1〜3月の東京都区部における築年数ごとの中古マンションの成約価格は以下の表の通りです。
築年数 | 〜5年 | 〜10年 | 〜15年 | 〜20年 | 〜25年 | 〜30年 | 30年〜 |
㎡単価(万円) | 115.7 | 104.5 | 95.9 | 85.6 | 77.5 | 66.2 | 61.2 |
下落率(%)※ | – | 9.68% | 17.11% | 26.02% | 33.02% | 42.78% | 47.10% |
※築5年以内の物件の㎡単価を基準とした下落率
築年数が経過するほど成約単価が下落する傾向があるため、新築や築浅の物件を購入する際は上掲の表を一つの目安として売却時の戦略を考えるのも選択肢の一つです。
価格下落リスクへの対策としては、以下3つのような方法が挙げられます。
・資産価値を維持しやすい物件を購入する
・定期的に大規模修繕やリフォームを行う
・物件価格の下落を想定した売却戦略を購入時に立てておく
都心部にはヴィンテージマンションとして築年数が経過しても高い資産価値を維持している物件があります。好立地で希少性が高く、日常的なメンテナンスが行き届いた物件は資産価値を維持しやすい物件といえるでしょう。
賃料下落リスクとは、築年数の経過等に伴う賃料の下落により収支が悪化するリスクのことです。
株式会社船井総合研究所の調べによれば、東京都区部の賃貸マンションの賃料は年率平均に換算すると概ね0.75%前後の割合(日本全国は概ね1%の割合)で下落しており、築年数の経過とともに賃料収入は減少していくと認識しておくのが無難でしょう。
賃料下落リスクへの対策としては、以下3つのような方法が挙げられます。
・長期的に賃貸需要が旺盛で賃料相場が下落しにくいエリアの物件を購入する
・定期的に大規模修繕やリフォームを行う
・賃料下落を想定した資金計画を購入時に立てておく
東京都区部は日本全国平均と比べて賃料の下落率が低いことから、賃貸需要が長期的に継続するエリアにおいては築年数の経過による賃料下落は緩やかであるといえそうです。
定期的に外壁塗装や防水材の塗り直しをはじめとする大規模修繕や室内の設備を最新鋭のものにするリフォームを行うことで外観・内装ともにアップデートをしていきましょう。
金利上昇リスクとは、変動金利での融資において金融機関の基準金利の上昇によって当該融資における利率が上昇するリスクのことです。
日本では2016年からマイナス金利政策が施行されており、金融機関の貸出金利も低金利が続いています。将来的にマイナス金利政策が終わり、金融引き締めによる金利上昇の局面を迎えた際に金利上昇リスクが顕在化するかもしれません。
金利の上昇によって毎月のローン返済における金利負担が増え、支払金利の総額が増大したりキャッシュフローが悪化したりします。
金利上昇リスクへの対策としては、以下3つのような方法が挙げられます。
・融資を受ける際に固定金利を選択する
・自己資金を入れることで融資率を抑える
・金利が上昇した際に一括繰上返済をする
変動金利を選択する場合でも、融資率を抑えることで金利上昇による負担を相対的に軽減できます。手元資金が潤沢にあるのであれば、金利が上昇した際に一括繰上返済をすることでリスク回避をするもの選択肢の一つです。
日本不動産にはリスクもありますが、事前の備えと善後策によって十分な対策を取ることが可能です。安全でハイパフォーマンスな投資をするために、まずはリスクと対策を理解することから日本不動産への投資をスタートしましょう。
なお、本記事における解説情報はあくまで一般論であり、個別具体的な考え方や手法は投資物件によってケースバイケースです。より詳細な情報やノウハウ等についてはお気軽にお問い合わせください。