不動産投資のパフォーマンスは賃貸管理の質によって左右され得るため、賃貸管理をどのようにして行うかは物件選びと同様に重要な決定な事項の一つといえます。特に海外不動産の賃貸管理においては言語や商慣習等の違いもあることから、その重要性はなおのことです。
海外不動産への投資に興味はあっても、賃貸管理をどのように行うかという点で迷う投資家も少なくないでしょう。本記事では、海外不動産の賃貸管理について、管理方法の選択肢を列挙したうえで海外不動産の管理委託先を考える際の5つのチェックポイントを解説します。
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1-海外不動産を管理する4つの方法
┗1-1自主管理
┗1-2日本国内の管理会社にアウトソーシング
┗1-3海外現地の管理会社にアウトソーシング
┗1-4日本国内のエージェント経由で海外現地の管理会社にアウトソーシング
2-海外不動産の管理委託先を考える際の5つのチェックポイント
┗2-1時差
┗2-2対応言語
┗2-3管理委託料
┗2-4対応スピード
┗2-5商慣習
3-まとめ
海外不動産を管理する際の方法には、以下4つの選択肢があります。
■自主管理
■日本国内の管理会社にアウトソーシング
■海外現地の管理会社にアウトソーシング
■日本国内のエージェント経由で海外現地の管理会社にアウトソーシング
自主管理とは、管理会社を介さずにオーナーが自ら賃貸管理を行うという管理方法です。
自主管理の場合、入居者募集や賃貸借契約の締結、クレーム対応、修繕工事の手配といった賃貸経営をするうえでの実務を全てオーナー自身で行う必要があります。
自主管理をすることで管理委託料というランニングコストを節約することはできますが、賃貸経営や建物および設備のメンテナンスに関する経験と知識が豊富にあるプロの投資家でない限り、自主管理をするのは現実的ではないでしょう。
管理委託料は送金賃料の5%程度であることが多いため、賃貸経営上の実務を全て自分で行う労力と時間の大きさを考えれば、賃貸管理は管理会社にアウトソーシングするのが得策といえそうです。
日本国内に拠点を置いていても、海外現地の提携会社やグループ会社等とのネットワークを有している管理会社であれば、賃貸管理をアウトソーシングすることができます。
日本国内の管理会社にアウトソーシングする場合、実際に現場実務を行うのは海外現地のスタッフですが、オーナーとの窓口は当該国内の管理会社のスタッフであるため、言語や時差等の障壁を感じずに賃貸経営を行いやすいでしょう。
所有不動産の周辺エリアに所在する海外現地の管理会社に直接、賃貸管理をアウトソーシングするのも選択肢の一つです。
海外現地の管理会社にアウトソーシングする場合、実際に現場実務を行うスタッフと直接やりとりができるため、より現場に近い情報をオンタイムで得やすくなる可能性が高いでしょう。
■日本国内のエージェント経由で海外現地の管理会社にアウトソーシング
管理会社という立場ではなく、オーナーの代理人として第三者的な立場から海外現地の管理会社を選定するサポートをするエージェントも存在します。
エージェントは自らが賃貸管理をするのではなく、オーナーに対して海外不動産の賃貸管理に関するセカンドオピニオンを提言したり、オーナーが海外現地の管理会社とやりとりをする際のサポートをしたりする存在です。
エージェントという第三者的な専門家からアドバイスを受けられることで、フラットな目線で管理会社を選定しやすくなるでしょう。
海外不動産の賃貸管理を日本国内または海外現地のいずれの管理会社にアウトソーシングするかを決めるにあたって、チェックしておくといいポイントは以下の5つです。
日本国内でも海外現地でもメリットとデメリットがそれぞれあるため、各投資家自身の経験値や語学力等に応じて判断するのが得策です。
■時差
■対応言語
■管理委託料
■対応スピード
■商慣習
アメリカやヨーロッパなど、日本と時差のあるエリアに不動産を所有する場合には時差の問題が生じます。
エリアによっては日本と半日近くの時差があり、仕事と生活のリズムが正反対という場合もあるでしょう。海外現地の管理会社にアウトソーシングする場合には時差による障壁が生じ得ることを忘れてはいけません。
大きな時差のあるエリアとのやりとりにおいては、電話連絡が困難になったりメールの返信がオンタイムでしにくかったりすることが考えられるため、時差という観点においては日本国内の管理会社の方が有利かもしれません。
海外現地の管理会社とやりとりをする際には、英語や現地の言語を使う場面が出てくる可能性があります。英語であれば電話やメールで簡単なやりとりができるかもしれませんが、英語以外の言語は馴染みがなく簡単なやりとりでも困難な投資家も少なくないでしょう。
語学力に長けている投資家でない場合は、日本国内の管理会社の方がスムーズに賃貸経営ができるかもしれません。
管理委託料は賃貸経営をするうえで発生するランニングコストの一つです。
自主管理という方法を選択しない限りは必ずといえるほど発生するものであるため、受けられるサービスの質および量と費用のバランス(コストパフォーマンス)が重要といえます。
日本国内の管理会社またはエージェントを経由して海外不動産の賃貸管理をする場合、海外現地の管理会社に直接アウトソーシングするよりも管理委託料が割高になる可能性があるでしょう。
日本国内の管理会社またはエージェントを経由することでステークホルダーが増え、中間マージンやエージェント報酬が上乗せされることがあるためです。
海外現地の管理会社にアウトソーシングする方が、日本国内の管理会社またはエージェントを経由よりも賃貸経営上の各種実務を迅速に行える場合があるでしょう。
日本国内の管理会社またはエージェントを経由しない分、現地からの情報をより迅速に受け取ったり、対応依頼をより迅速に発信できたりするためです。
特に緊急時には迅速な対応が求められることが多いため、海外現地と直接やりとりできる方が対応スピードの点においては有利かもしれません。
日本と海外では商慣習が大きく異なることも多くあるため、賃貸経営をするうえで日本国内の管理会社では当たり前にできていたことが海外現地の管理会社ではできないという場面が出てくる可能性があります。
賃貸管理の方法や業務の範囲、担当者不在時の対応といった種々の点で日本と海外では商慣習が大きく異なり、ストレスを感じることがあるかもしれません。
日本国内の管理会社またはエージェントを経由する場合、商慣習の違いについての説明を事前に受けられたり、日本国内で行う賃貸管理と同等のサービスを海外現地でも受けられたりすることもあり得るため、商慣習の違いによるストレスを軽減できることが期待できます。
不動産投資のパフォーマンスを大きく左右し得る賃貸管理の質は、管理会社のサービスの質およびオーナーとどれだけ密接にコミュニケーションを取れるかといった点によって決まるといっても過言ではありません。
海外不動産の賃貸管理においては、特に考慮すべき要素が多いため、各投資家自身の経験値や語学力等に応じて柔軟に管理会社を選びましょう。
なお、本記事における解説情報はあくまで一般論であり、個別具体的な考え方や手法は投資物件によってケースバイケースです。
より詳細な情報やノウハウ等についてはお気軽にお問い合わせください。