長期に渡って盤石な不動産投資をするために、人口が高水準で安定的に推移しており、賃貸需要の旺盛さが続くことが見込まれる東京都23区内のエリアを検討する投資家も少なくないでしょう。
不動産投資を行うエリアという観点から23区の特徴を理解し、投資エリアを検討するにあたっては、まず不動産投資の本質を理解しておく必要があるといえます。
本記事では、「不動産投資に適したエリアはどこか」という点について、不動産投資の本質やビジネススキーム、キャッシュポイント等を踏まえて解説していきます。
index
1-不動産投資の本質とは?
2-不動産投資の3つのキャッシュポイント
3-本質から考える!不動産投資に適したエリアとは?
┗3-1底堅い賃貸需要を重視する場合
┗3-2資産価値の維持または上昇を重視する場合
4-まとめ
不動産投資の本質とは、「長期に渡って賃貸需要が旺盛であり、資産価値が下落しにくい物件に投資すること」であり、以下2つの要素が本質の軸であるといえるでしょう。
・長期に渡って底堅い賃貸需要があること
・資産価値が下落しにくいこと
不動産投資の本質を構成する要素の一方でも欠けた投資になると、最終的に投資パフォーマンスを最大化させることは難しくなります。不動産投資におけるパフォーマンスが最大となるのは、相場以上の賃料で長期間に渡って貸し続け、購入時よりも高値で売却することができたときであるためです。
不動産投資の本質を理解することで、円滑で適正な投資判断を行うことができ、投資としてハイパフォーマンスを出せる可能性が高まるため、まずは不動産投資の本質を理解しましょう。
不動産投資のキャッシュポイントは、インカムゲインおよびキャピタルゲイン、その他の収入の3つであり、不動産投資におけるインカムゲインは賃料収入で、キャピタルゲインは売却益を指します。
・賃料収入
・売却益
・その他の収入
不動産投資においては、賃料収入と固定費(ローン返済、管理会社への委託料等)および変動費(修繕費、入退去に係る費用等)との差額がインカムゲインとして、購入価格と売却価格との差額が売却益としてキャッシュポイントになります。
インカムゲインとキャピタルゲインに加えて、その他の収入として入居者が入れ替わる際に新入居者から得られる礼金、物件の敷地内に電柱が設置された場合に得られる電柱敷地料、物件の壁面等に看板が設置された場合に得られる看板設置料等もキャッシュポイントになることがあります。
投資物件を検討する際は、3つの限られたキャッシュポイントの中でいかにしてパフォーマンスを最大化するかという視点を持つようにしましょう。
「不動産投資に適したエリアはどこか」という点について、不動産投資の本質から以下2つの場合に分けて考察していきます。
「長期に渡って賃貸需要が旺盛であり、資産価値が下落しにくい物件に投資すること」という不動産投資の本質に根ざしたうえで、賃貸需要の旺盛さと資産価値の維持のいずれをより重要視するかによって投資に適したエリアは異なるでしょう。
■底堅い賃貸需要を重視する場合
■資産価値の維持または上昇を重視する場合
底堅い賃貸需要を重視する場合、以下2つの理由から世田谷区・大田区・練馬区の3区が投資対象として適しているエリアといえるでしょう。
・人口が2040年まで23区最多という予測がある
・主要ターミナル駅や空港へのアクセスが良好である
世田谷区・大田区・練馬区の3区は、2040年まで23区の中で最も賃貸住宅の需要の底堅さが維持されるという予測ができるエリアです。世田谷区・大田区・練馬区における賃貸住宅の需要の底堅さが維持されると予測できる理由として、23区における2040年までの常住人口(当該地域に3ヶ月以上居住している、または居住することになっている人口)の推移が挙げられます。
23区内における2040年までの常住人口の推移予測では、世田谷区・大田区・練馬区の3区がトップ3を独占し続けていることから、同エリアにおける賃貸住宅のニーズは長期的に維持されると考えられるためです。
不動産投資は入居者がいてこそ完成する投資であるため、当該エリアに居住する層がどの程度存在し続けるかという点が賃貸需要の底堅さを見極める基準の一つになるでしょう。
常住人口の多さのみならず、主要ターミナル駅や空港へのアクセスが良好であるという点も世田谷区・大田区・練馬区の賃貸需要の底堅さを裏付ける根拠です。
「住居の居住志向及び購買等に関する意識調査」(2020年1月)によれば、「住宅を借りる際のポイントは何ですか」という質問に対し、「交通の利便性が良い」と回答した割合が「家賃」についで2番目に多く51.1%で、地域別に比較すると関東地方が全国で最も多く54.3%でした。
世田谷区・大田区・練馬区の交通利便性は、新宿駅(小田急線、京王線など)や渋谷駅(京王井の頭線、田園都市線など)、池袋駅(西武池袋線、副都心線など)といった日本トップレベルの乗降客数を誇るターミナル駅、羽田空港(京急線、東京モノレール羽田空港線など)に直通でアクセスができる駅が多いため、交通利便性は23区内で良好であると評価できるでしょう。
常住人口が長期に渡って高水準を維持することが見込まれ、かつ交通利便性が良い世田谷区・大田区・練馬区の3区においては、長期的に底堅い賃貸需要が続くと考えられるため、投資エリアとして有望な候補といえます。
都心6区と呼ばれる千代田区・中央区・港区・新宿区・文京区・渋谷区では、2014年から2020年までの期間において、中古マンション価格が右肩上がりに推移しており、23区内で最も高い伸び率(約1.5倍)です。都心6区のマンションが高い資産価値を維持しやすいのは、以下3つの理由からでしょう。
・地価が高いエリアである
・賃料を高水準で維持できることが期待できる
・築古物件になっても、ヴィンテージマンションとして高評価を得られる可能性がある
都心6区のマンションの優位性の一つとして、資産価値を高水準で維持しやすいため、高い賃料で貸し続け、高い価格で売却するという不動産投資の理想的な状態を作りやすいことが挙げられます。都心6区のマンションは自己居住のための需要に加えて、国内外の投資家からの投資需要も期待できるため、資産価値の維持または上昇が期待できるといえるでしょう。
不動産投資の本質は、「長期に渡って賃貸需要が旺盛であり、資産価値が下落しにくい物件に投資すること」であることから、本質に基づいて投資エリアや投資物件の検討をすることで、合理的な投資活動ができる可能性を高めることができるでしょう。
投資エリアおよび投資物件の判断においては、底堅い賃貸需要および資産価値の維持または上昇のいずれに重点を置くかで投資方針が異なる場合があるため、自分の投資スタイルや投資目的に適合した投資方針をカスタマイズするのが得策といえそうです。
なお、本記事における解説情報はあくまで一般論であり、個別具体的な考え方や手法は投資物件によってケースバイケースです。より詳細な情報やノウハウ等についてはお気軽にお問い合わせください。